ISBN:4344406834 文庫 幻冬舎 2005/08 ¥480

最近は桜井亜美の文庫新刊が出る度に
ここで何か書いている気がする。
一番好きな作家という訳でもないのだけれども。
たぶん読者年齢層の中心からも大きく上に外れているだろうし。
でも、読むと必ず何か考えさせられる。考えずにはいられない。
この人の作品には、心の、普段あまり稼働していない箇所の
スイッチを押される気がする。

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「恋愛」は消費活動だ。
「恋人」は消耗品だ。

有限性があるから、打ち込むのだろう。
水モノだから、大事にするのだろう。
ギャンブルだから、熱中するのだろう。
遊戯だから、楽しむのだろう。

恋愛がプライベートな行為だとは、私には到底思えない。
何らかの約束事の上に成り立つ契約。破棄されても文句言いっこなし。
何の見返りも無く、好き好んでしたがる気持ちがわからない。
曖昧で不安定な関係性は心の拠り処にはなり得ない。
身も蓋もないかもしれないけれど、不条理に身や心の自由を剥奪されるというのに
日々の飯すら食っていけないようなことに時間を割く意味がわからない。

世間の人は、生きるだけでいっぱいいっぱいなんかじゃないんだなぁ。
私には、やっぱり恋愛は無理だ。
余裕がない。才能もない。魅力も感じない。

…とか言ってると、「あなたは本当の恋愛を知らない」
なんて言われちゃったり。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないし、
そもそも何をもってして「本当」かなんて誰にもわかるはずないと思っているけれど。

『Miracle』背表紙のあらすじによると。
この本は「真実の愛に目覚めるまでを描いた恋愛小説」。

もしこれが真実の愛ならば。
私には、逃げ出すことしかできない。

一応追記:勿論、恋愛したい者同士がすることに文句を付けているわけではないですからね。
ただ、したくない者の人権も認めていただけると幸いって言いたいのと…
意外と世間にはマゾヒストが多いのか?と余計な一言を付け加えたかっただけです。
(※あらかじめ主従関係が発生するものは、単純に恋愛とは言えないと解釈しております。
そういう形態も存在するのはわかってますけどね。単純ではないでしょう。)

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