ISBN:4309405762 文庫 河出書房新社 1999/05 ¥525

恥も外聞もぶん投げて
ぐにゃぐにゃに崩れきってしまいそうになるのを
ぎりぎりのところで引き戻してくれる本。気付け薬。
本当に、何度読み返したことか。

この本にはまるで救いがない。そこに救われる。

『わたしの体は誰のものでもない。
だったら、誰に貸し与えたっていいわけだ。』

私が(少なくとも)これまでしてきたことを
「売体業」と書いてきたけれども、
己の概念としては常に「貸体業」。
売り飛ばしなんてしない。
私がひとつしか所有していない商品だもの。
でも「売体業」とやらだろうが「貸体業」とやらだろうが
やってることはただひとつだし、
世間的にはネガティブでアングラな世界には違いないので、
あえて口当たりの悪い表現にしてみた。
己の行為を正当化の方向へ持っていこうなんて気は微塵もないので。

主人公は「最高学府の女」で、
勿論お勉強ができるだけのボンクラではない。
それゆえに、高等な理論武装が
「ボディ・レンタル」を始めた初期段階から
しっかりできあがってしまっている。
(二十歳と若いゆえ、詰めは甘いけれども。)
今となっては理論武装など放棄してしまった
(たしかに試みた時期もあった)私などは、
それを可哀想なことと思ってしまう。

『これは自虐でもなく、復讐でもなく、
しいていえば軽くなるためにしていることだ。』

軽くなることにも、ついでに自虐にも復讐にも、
そこにいちいち理論など要らない。
自分が本能的実感さえ得られれば、達成されることだ。
理論もへったくれもなく、ただ糞の如き雑感を垂れ流す
排泄的行為しかできないような頭の悪い女で、私は良かった。

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