【一緒にいたい人/狗飼 恭子】
2005年5月2日 読書
ISBN:4877285970 文庫 幻冬舎 1998/06 ¥480
「思い出すこと」がひとつもなくなるまでは、
生きる価値がいくらかあるかもしれない。
いつまでもどこまでもなにものからも逃げ続けながら、であろうとも。
あまりにも生きてて良いことがないので、
死んでしまおうかと思いましたが、
バカバカしいのでやめました。
バカバカしいし、ずるいなあって思うし。
『死ぬ気になればなんだってできる』というのは、嘘だと思います。
死ぬのは、ひどく簡単なことだからです。
生きることの方が、よっぽど大変です。何もしない毎日だとしても。
でもそれでも、人は嬉しかったことや幸せだったことを、記憶することができる。
だから私は、思い出すために、ずっとずっと生きていくでしょう。
(中略)
逃げるのは、悪いことだとは思いません。
それで人生やり直せるなら、さっさと逃げちゃった方が良いと私は思う。
だから私は逃げます。嫌なことから。
ただ嫌なことは足が速いので、あっという間に私に追いついてくるでしょう。
そしたらまた逃げようと思う。
「思い出すこと」がひとつもなくなるまでは、
生きる価値がいくらかあるかもしれない。
いつまでもどこまでもなにものからも逃げ続けながら、であろうとも。
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