【深い深い夢の中/狗飼 恭子】
2005年4月26日 読書
ISBN:4877288376 文庫 幻冬舎 2000/02 ¥480
ブックオフで最近買ったけれども、再読だった。
著書を呼んで「あぁ、私がいる」と感じさせてくれる作家は
桜井亜美と江国香織と狗飼恭子。
桜井亜美のものには自分の中の成長不全な部分・
青臭さを感じる部分で共感し、
江国香織のものには自分の中で少しずつわかりかけてきた
大人になってきてしまっている部分で共感し、
狗飼恭子のものには今まさに現在進行形の自分で共感する。
三者とも主として恋愛小説を書いている作家だけれども、
抽出できるエキスは恋愛についてのそれのみならず、
人として生まれついてしまったゆえの哀しみや苦しみ…そして喜びのようなもの、
そういったエキスも吸い上げることができる。
この本は、どの登場人物も「私」だった。余す人なく。
誰かの恋人にはなりたくないけれど、愛人にはなりたい。
恋人として求められる責任は重過ぎて負うことができないけれど、
愛人として強いられる無責任は甘受したい。
お互いに都合の良い関係。
利害一致した関係。
虚構の愛を旗印に利用し合う関係。
その程度の手軽で気軽な思い入れならば
私も気がねなく何かを求めることができるだろうし、
求めるものだって所詮たかが知れている。
…などと書くと読者である方には
「こいつは本当にこの本を完読したのか?」と思われるに違いないけれども。
登場人物たちは皆たしかに「私」だったけれども
今ここに生きている私は登場人物の誰でもないので、
物語通りの人生を私が生きていくことはできない。
光があれば、陰もある。
少なくとも今の私が呼吸していける場所は
まぶしい光が降り注ぐ場所ではない。少なくとも、今は。
ブックオフで最近買ったけれども、再読だった。
著書を呼んで「あぁ、私がいる」と感じさせてくれる作家は
桜井亜美と江国香織と狗飼恭子。
桜井亜美のものには自分の中の成長不全な部分・
青臭さを感じる部分で共感し、
江国香織のものには自分の中で少しずつわかりかけてきた
大人になってきてしまっている部分で共感し、
狗飼恭子のものには今まさに現在進行形の自分で共感する。
三者とも主として恋愛小説を書いている作家だけれども、
抽出できるエキスは恋愛についてのそれのみならず、
人として生まれついてしまったゆえの哀しみや苦しみ…そして喜びのようなもの、
そういったエキスも吸い上げることができる。
この本は、どの登場人物も「私」だった。余す人なく。
誰かの恋人にはなりたくないけれど、愛人にはなりたい。
恋人として求められる責任は重過ぎて負うことができないけれど、
愛人として強いられる無責任は甘受したい。
お互いに都合の良い関係。
利害一致した関係。
虚構の愛を旗印に利用し合う関係。
その程度の手軽で気軽な思い入れならば
私も気がねなく何かを求めることができるだろうし、
求めるものだって所詮たかが知れている。
…などと書くと読者である方には
「こいつは本当にこの本を完読したのか?」と思われるに違いないけれども。
登場人物たちは皆たしかに「私」だったけれども
今ここに生きている私は登場人物の誰でもないので、
物語通りの人生を私が生きていくことはできない。
光があれば、陰もある。
少なくとも今の私が呼吸していける場所は
まぶしい光が降り注ぐ場所ではない。少なくとも、今は。
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