ISBN:434440498X 文庫 幻冬舎 2004/03 ¥600

たぶん狙い通りで読者層は若者中心だろう、
と思われる桜井亜美氏の作品。
大人と言われる年齢になってから出会って以来、
激しくハマる部門と著しく冷淡な部門が私の中に両立している。
「大人になる事」を一貫して拒否し続けている、
"起承転結"の"起承"ぐらいまでの主要登場人物の語る言葉、
今まで何度も書き出させられたり本を付箋だらけにさせられたり。
彼女の作品の主要登場人物の年齢層は年々上がってきているけれども、
(そして時代設定も未来になったりするようになったのは、
今の若者が大人になってからの予言的世界?)
(それに伴って?SF色強くなったり。)
特に近年の、外見は大人ながらも中身がどこか置いてけぼり、
系統の作品群には、感情移入などもさせられつつ。
この辺がきっと、精神科医にも言われた
「ある種の精神面が著しく未発達」の部門なのかしらねぇと。
その反面、個人的には何となく尾崎豊を連想したりする"転結"の
「あなたと私、2人だけの地平」への昇華のさせ方には、
この手の話でのワンパターン感が否めなくも思う。
(ちなみに。個人的に一番好きな作品は、
現象を見ればアンハッピーエンドだけれども
読後やけにクリアな心持になる【ファイナル・ブルー 永遠】。)

ところで。
この【fragile】。
小説×写真のコラボ作とは言え、大味...?
端折り過ぎ・急ぎ過ぎ感否めず。
舞台設定が香港な時点で既に、困った時は何でも有りな土台完成な気が。
あ、でも付箋は2,3貼り付いてるのね。

桜井亜美氏=ルポライターの速水由紀子氏なのはきっと周知の事実で、
そして私は未だに速水氏の文章をまともに読んだ事が無く。
食指が動かされにくいテーマをお取り扱われているもので。
でも「桜井亜美」としての目線から紡がれる文章は、
たぶんまだしばらく追っていく気配。

蜷川実花氏の写真は、色彩豊かで目が楽しいの。

http://webmagazine.gentosha.co.jp/ami/EternalWind.html
http://www.ninamika.com/

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